福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
         
          
         
メンデレス川の岸のキツネたち 
      
      
        ある日の事、キツネたちが水を飲もうとして、トルコのメンデレス川の岸に集まって来ました。 
 けれども川は、ごうごうと音を立てて、激しい勢いで流れているので、キツネたちは、 
「お前が先に入れよ」 
「いや、お前だ」 
と、お互いに言い合うだけで、みんな入ろうとはしませんでした。 
 その時、一匹のキツネが、 
「みんな、意気地なしだなあ」 
と、大きな声で、仲間をののしりました。 
「おれはお前たちみたいに、臆病ではないぞ。見ていろ」 
と、そのまま川に飛び込みました。 
 たちまちキツネは流れにさらわれて、川の真ん中まで引き込まれました。 
 岸に残った仲間のキツネは、 
「おーい、おれたちをおいてきぼりにしないでくれよ。戻って来いよ。どの辺なら安全に水が飲めるか、教えてくれよ」 
と、叫びました。 
 しかし、威張り屋のキツネは、流れにさらわれながらこう答えました。 
「おれは川口のミレトスの町に言づてを頼まれているんでね。あそこまで行って来るよ。帰って来たら、みんなに水飲みの場所を教えてやるから」 
 
 このお話しは、空威張りをして、わざわざ危険な事をする人をたとえています。 
      おしまい 
          
         
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