福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
       
        
       
ライオンとオオカミとキツネ 
      
      
        ライオンが年を取って病気になり、洞穴に寝ていました。 
 動物たちはみんな、王さまライオンのお見舞いに来ましたが、キツネだけは来ません。 
 そこでオオカミは、ここぞとばかりライオンにキツネの悪口を言いました。 
「あいつは元々と、王さまをうやまう気持ちが全然ないのです。だからこの通り、お見舞いにも来ないのですよ」 
 ちょうどその時、キツネがやって来ました。 
 ライオンはキツネを見ると、 
「ウォーッ!」 
と、怒りの吠え声を上げました。 
 しかしキツネは、 
「ちょっとお待ち下さい。遅くなったわけを説明しますから」 
と、落ち着き払って、 
「さて、ここに大勢の動物が集まっていますが、この中で、わたしほど王さまの為に尽くした者がいるでしょうか? 
 何しろ、わたしはあっちこっちの医者を訪ねて、王さまを治す薬はないかと聞いて回ったのですよ。 
 そして、ちゃんと見つけてきましたからね」 
 ライオンはニッコリ笑うと、 
「そうか、そうか。それはすまなかった。では、今すぐその薬を教えてくれ」 
と、頼みました。 
「それは、生きたオオカミの皮をひんむいて、温かいうちにそれで体をくるむ事です。特に、人の悪口を言うオオカミが良いそうです」 
 キツネがこう言ったので、たちまちオオカミは殺されてしまいました。 
 
 このお話しは、人をおとしいれようとたくらめば、自分がワナにはまってしまうものだと教えています。 
      おしまい 
          
         
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