福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
         
          
       
      年を取ったライオンとキツネ 
      
      
        年寄りのライオンがいました。 
 ライオンは体が弱っていたので、もう、若い頃の様に走って狩りをするのが面倒でした。 
 そこで良い事を思いつき、こんなおふれを動物たちに出しました。 
 
《動物の王であるわたし『ライオン』は病気になってしまった。 
 わたしの見舞いに洞窟まで来た者には、褒美と高い位を授けよう》 
 
 そして見舞いに来た動物たちを、ライオンは片っ端から食べてしまいました。 
 しかし、キツネだけは来ませんでした。 
 ライオンはキツネに、 
「なぜ来ないのか」 
と、尋ねました。 
 すると、頭の良いキツネは答えました。 
「はい、洞窟に入ったみんなの足跡は残っているのですが、洞窟から出た足跡は一つもありません。 
 きっと、洞窟からどうやって出たら良いのか、みんな分からなかったのでしょう。 
 わたしも分からなくなると困るので、行きませんでした」 
「・・・・・・」  
 さすがのライオンも、これには何も言い返せませんでした。 
 
 この様に頭の良い人は、ちょっとしたヒントから危険を察知し、危ない目に会わずにすむのです。 
      おしまい 
          
         
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