福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
         
          
       
      セミとアリ 
      
      
        冬のある日の事です。 
 アリたちは貯めてあった穀物(こくもつ)が湿ったので、家の外で乾かしていました。 
 そこへ、お腹を空かしたセミがやって来て、 
「何か、食べ物を下さい」 
と、頼みました。 
 アリたちは、 
「あなたは、どうして夏の間に、食べ物を蓄えておかなかったのですか?」 
「ひまがなかったのです。きれいな歌を歌うのに忙しくて」 
 アリたちは、せせら笑って言いました。 
「なるほどね。しかし、夏の間、歌を歌っていたのなら、冬は踊りでも踊ったらどうです」 
 
 このお話しは、つらい目や危ない目に会うのが嫌だったら、どんな時にも、いざという時の備えをしなければいけないと教えています。 
 
 
※この「セミとアリ」は、有名な「アリとキリギリス」のもとのお話しだといわれています。 
 「アリとキリギリス」以外にも、「セミとアリ」から変化したお話しは多くて、「アリとコガネムシ」「アリとコオロギ」「トンボとキリギリス」などがあります。 
 セミが他の昆虫に変化した理由は、お話しの伝わった国に、その昆虫がいなかったり、お話しを伝えた人が、勝手に昆虫を変えたりしたからです。 
      おしまい 
          
         
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