福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
         
          
       
      闘犬とふつうのイヌ 
      
      
        ある家にかわれているイヌが、猛獣とたたかうように訓練されていました。 
 ある日、たくさんの猛獣が勢ぞろいしているのを見たこのイヌは、首輪をひきちぎって町に逃げだしました。 
 まるで牛のようにたくましい闘犬が逃げてくるのを、ほかのイヌたちが見て、 
「きみは、なぜ逃げてきたの」 
と、たずねますと、闘犬は、 
「たしかにぼくは、毎日腹いっぱい、うまいものを食って、ぜいたくにくらしているよ。だけど、ライオンだのクマだのをあいてに、たたかわされるのだから、いつだって、こんどは死ぬか、こんどは死ぬかと、おそろしくてしかたがないんだ」 
 これを聞いて、ふつうのイヌたちはおたがいに、 
「ぼくたちは貧乏(びんぼう)だけど、しあわせなんだなあ。ライオンやクマなんかと、たたかわずにすむんだから」 
と、いいあいました。 
 
 ぜいたくなくらしをしていても、大変な毎日をおくるよりは、貧乏でも、のんびりとした毎日をおくるほうがしあわせだと、このお話しは教えています。 
      おしまい 
          
         
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