福娘童話集 > お話し きかせてね > きょうのイソップ童話 
         
          
         
        ウサギとカエル 
      
       
      
      
        ある日、ウサギたちがあつまって、はなしあっているうちに、みんな、ひどく悲しくなってしまいました。 
   なぜなら、ウサギはいつもビクビクして、くらしているからです。 
  「本当に、ぼくらは人間にも、イヌにも、ワシにもねらわれてるし、ほかにも、ぼくらをエサにしようとしている動物はいっぱいいるから、こわいなあ。毎日こんなにおそろしい思いをするくらいなら、どうだろう、いっそ、ひと思いに死んでしまうほうが、ましじゃあないか」 
   ウサギたちはこう考えて、みんなで池に飛び込んで死ぬことにきめました。 
   そこでウサギたちは、いっせいに池をめざして走っていきました。 
   ところが、その池のほとりには、たくさんのカエルがいて、ウサギたちの足音を聞いたとたんに、あわてて水に飛び込んで逃げました。 
   それを見て、ウサギの中の一番かしこい一匹が、みんなにいいました。 
  「おーい、みんな待ちたまえ。自殺はやめよう。ごらんのとおり、ぼくたちよりも、もっとよわむしで、ビクビクしているやつがいることがわかったからね」 
   
   このお話しは、ふしあわせな人は、自分よりもふしあわせな人を見ると、安心するものだということをおしえています。 
      おしまい           
         
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