2月4日の日本の昔話
頭の池
むかしむかし、あるところに、どうにもびんぼうな男がいました。
「ひとなみに、くらしたいなあ。そうだ、観音様(かんのんさま→詳細)におねがいしてみよう」
男が村の観音様にかよって、おまいりをつづけていると、あるばん、観音様があらわれて、
「いいだろう。おまえのねがい、かなえてしんぜよう。夜があけたらお宮の石だんをおりていって、さいしょに見つけたものをひろい、それをだいじにしなさい」
と、つげました。
やがて男が石だんをおりていくと、なにかおちています。
「ははん。これだな」
ひろいあげると、それはカキのタネでした。
「なんだ、こんなものか」
男はすてようかとおもいましたが、せっかくおつげをもらったのですから、そまつにできません。
ありがたくおしいただくと、これはふしぎ。
カキのタネが男のひたいに、ピタッとはりついて、とろうにもとれません。
「まあいい、このままにしておこう」
するとまもなく、カキのタネから、めがでてきました。
めは、ズンズンのびて、りっぱな木になりました。
男が、たまげていると、カキの木は、えだいっぱいに花をつけ、花がおわると、すずなりに実をつけました。
「うまそうだな。ためしにたべてみよう」
男がたべてみると、あまいのなんの。
男はさっそく、まちへカキをうりにいきました。
「頭にカキの木とは、めずらしい」
「おれにもくれ」
「おれもだ」
カキはとぶようにうれました。
男はおかねをふところに、ホクホク顔でしたが、おもしろくないのは、まちのカキうりたちです。
「おれたちのしょうばいを、よくもじゃましたな!」
男をかこんで、ふくろだたきにすると、頭のカキの木を、きりたおしてしまいました。
「ああ、もう、かねもうけできない・・・」
男がしょげていると、きりたおされたかきの木のねもとに、カキタケという、めずらしいキノコがはえてきました。
おいしいキノコなので、男がうりにいくと、これまたとぶようにうれました。
おもしろくないのは、まちのキノコうりたちです。
「おれたちのしょうばいが、あがったりだ!」
男をかこんで、ふくろだたきにすると、カキの木のねもとを、ひっこぬいてしまいました。
男はガッカリです。
頭には、大きなくぼみができてしまいました。
やがて、このくぼみにあめがたまって、大きな池ができました。
「こうなったらいっそのこと、池にみなげをして、しんでしまいたい」
男がなげいていると、頭の池で、パチャンとはねるものがありました。
手にとってみると、大きなコイです。
頭の池には、いつしか、コイやらフナやらナマズやらが、そだっていたのです。
男は頭の池のさかなをうりにいって、またまた、おかねをもうけましたが、まちのさかなうりたちはあきれて、ポカンとながめているだけでした。
おしまい
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