ほいくえん・ようちえん の にほんむかしばなし



はなさか じいさん

　むかしむかし　あるところに　おじいさんと　おばあさんが　すんで　いました。
　ふたりは　こどもが　いなかったので　しろ　と　いう　いぬを　とても　かわいがって　いました。
　あるひ　しろが　はたけで　ほえました。
「ここほれ　わんわん　ここほれ　わんわん」
「おや？　ここを　ほれと　いって　いるのか。　よしよし　ほってやろう」
　おじいさんが　ほって　みると　
「や　やっ　これは　すごい！」
　なんと　じめんの　なかから　おおばんこばんが　ざくざくと　でて　きました。
　このはなしを　きいた　となりの　よくばりじいさんが　
「わしも　おおばんこばんを　てに　いれる。　おめえの　しろを　わしに　かして　くれや」
　よくばりじいさんは　しろを　むりやり　はたけに　つれて　いきました。
　そして　いやがる　しろが　きゃんきゃん　ないたところを　ほって　みると　くさいゴミが　たくさん　でてきました。
「この　いぬめ！」
　おこった　よくばりじいさんは　なんと　しろを　なぐりころして　しまいました。
　しろを　ころされた　おじいさんと　おばあさんは　しろを　はたけに　うめてやると　ぼうを　たてて　おはかを　つくりました。
　つぎの　ひ　おじいさんと　おばあさんが　しろの　おはかまいりに　はたけへ　いって　みると　しろの　おはかの　ぼうが　ひとばんの　うちに　おおきな　きに　なっていました。
　おじいさんと　おばあさんは　そのきで　うすを　つくって　おもちを　つきました。
　すると　もちの　なかから　たからものが　たくさん　でてきました。
　それを　きいた　よくばりじいさんは　
「わしも　たからものを　てに　いれる　おめえの　うすを　わしに　かして　くれや」
と　いって　うすを　むりやり　かりると　じぶんの　いえで　もちを　ついて　みました。
　しかし　でてくるのは　いしころばかりで　たからものは　でてきません。
「この　うすめ！」
　おこった　よくばりじいさんは　うすを　おので　こわすと　やいて　はいに　してしまいました。
　おじいさんは　せめて　はいだけでもと　うすを　やいた　はいを　かごに　いれて　もちかえろうと　しました。
　そのとき　はいが　かぜに　とばされて　かれきに　かかりました。
　すると　どうでしょう。
　はいの　かかった　かれきに　たくさんの　はなが　さきました。
　おじいさんは　うれしくなって。
「かれきに　はなを　さかせましょう。ぱぁーーーっ」
と　いいながら　つぎつぎに　はいを　まいて　かれきに　うつくしい　はなを　さかせました。

　ちょうど　そこを　おしろの　おとのさまが　とおりかかりました。
「ほう　これは　みごとじゃ」
　おとのさまは　たいへん　よろこんで　おじいさんに　たくさんの　ごほうびを　あげました。
　それを　みていた　よくばりじいさんが　
「わしも　ごほうびを　てに　いれる　おめえの　はいを　わしに　かして　くれや」
と　いって　むりやり　はいを　とりあげると　おとのさまに　いいました。
「とのさま　このはいは　わしの　ものです　わしが　かれきに　はなを　さかせますから　わしにも　ごほうびを　ください。　ばぁーーーっ！」
　よくばりじいさんは　とのさまの　まえで　たくさんはなを　さかせようと　はいを　たくさん　まきました。
　すると　はいが　おとのさまの　めに　はいったので　よくばりじいさんは　おとのさまの　けらいに　とても　おこられました。

おしまい